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”才能のある人に輝いてもらいたい。 できる限り、やれる範囲で手を抜かない” |
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渋谷のど真ん中ということで、若いお客様や海外からのお客様が多いです。以前は高校生が多かったですが、近年は渋谷を訪れる人の年齢層が少し上がってきている印象があります。 大型店のようにきっちりジャンル分けをするのではなく、その時々のお客様層にあわせて臨機応変に商品を変えていくところが強みだと思います。ジャニーズ関連本はよく売れます。海外のお客様はアイドルの写真集、ワンピースやドラえもん、ドラゴンボールなどの人気コミックの1巻を日本に来た記念に買っていかれる方が多いですね。
やたらとPOPを置くことはしていません。感動、感動と書かれたものはかえって作品の価値を落としてしまうこともあります。自分でPOPを作る場合は、紹介文をさらっと書く程度にとどめています。また、スペースが限られていますので、拡材を設置する際も他の作品を隠してしまわないよう気をつけています。関連書籍を並べる時にうまい分類が思い浮かばないときは、表紙の色味で並べるということを結構やっています。 作家さんがキャンペーンなどでお店に来店して直筆サインをいただいたり、出版社さんからサイン本をいただいたりします。その時だけいい顔をして売るというのではなく、日頃から継続的に店頭でアピールし販売する。サイン本をいただいたらきっちり売り切る。作家さんや出版社さんに対して、有名無名に関わらずそういった姿勢を示すことが信頼になり、「次もまたお願いします」と言っていただけたり、こちらのお願いを受け入れてもらえるのだと思います。 今年の本屋大賞を受賞された辻村深月さんも、ある作品のキャンペーンでご来店された際、次回作単行本化のイベント開催をお願いしていました。ご多忙の時期にも関わらず覚えていてくださり、トークイベント&サイン会が実現しました。
B1のコミック売り場 英語のポスターを掲示。 |
最近で言うと、三省堂書店の書店員・新井見枝香さんのエッセイ発売記念トークイベントですね(おすすめBOOKSコーナー参照)。私が司会進行をし、西荻窪で「Title~タイトル~」という新刊書店を営む辻山良雄さんに新井さんのお相手をお願いしました。お二人同士の面識はほとんどなかったのですが、二人の感性に共通するものを感じお声を掛けました。 新井さんとは以前から交流があり、他のイベントにもゲストとして度々登場していただいていました。イベント参加者には書店や出版関係者の方ももちろんいますが、新井さんのファンの方がじわじわ増えてきて、常連さんが付いてきています。この時もSNSでイベントの告知をすると40名の定員がすぐに埋まりました。またイベント自体も定着してきたようで一般の本好きの方も集まるようになってきました。 イベント開催に当たっては、会社都合でできないことがある場合があります。その点、うちは単店ですのでそのような壁やしがらみがほとんどありません。うちだからできるイベントを、これからも続けていきたいですね。
取材時の2階売り場レイアウト。 |
小さな書店ですので、出版社さんからの企画の持ち込みはあまりないです。出版社の営業さんにこちらから働きかけたり、スタッフの持っているつながりや、キャンペーンでご来社された作家さんに直接お声掛けするパターンが多いです。いずれにしても日々築いてきた信頼関係があるからこそ実現しています。関係ができているのでお互いにここまではやれるだろうという所もわかり、無理や無茶を言われたことはありません。 イベント運営で大切なことは、面倒くさいと思わないこと。自分が面倒と思ってしまったらそのイベントの成功はない。そして、自分がどうしたいかではなく出演者さん、お客様のことを第一に考えることだと思います。通常業務の他にイベントの準備を行いますので、出演者さんのご要望に全て応えられない面もあります。しかしどれだけ読んでどれだけ宣伝するかという仕込みがイベント成功のカギを握ります。大変な分、イベントが終わった際の達成感は格別です。 働く上でのこだわりというものが自分にはありません。裏方に徹して、作家さんや新井さん、辻山さんのような影響力をもっている書店員さんなど才能のある人に輝いてもらえればそれでいいと思っています。野球で言うなら中継ぎですかね。先発ピッチャーに勝ち星が付くほうが僕にとっては面白いのです。
【新刊発売 名物!! 店頭マイク営業】 取材日当日はビックタイトルの発売日。副店長が店頭に立ちマイクで発売の告知。看板の下にも発売タイトルを大きく印字。渋谷センター街という立地ならではの光景。 |
家庭を持っている方や、お子さんがいる方、時間のやりくりが大変だと思います。できる限り、やれる範囲で手を抜かないということが大切ではないかなと思います。その姿勢は必ずお客様に伝わります。
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