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マルサン書店/木村智仁さん

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【第19回】マルサン書店 仲見世本店 木村智仁 さん

 

 

 関連を知って組み合わせる、
それだけで売上げは全然違います
 

 

 

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マルサン書店 仲見世本店 店長  

木村 智仁(きむら ともひと) 

 
   

静岡県出身。書店員歴20年。
6店舗の異動の中で新店の立ち上げに関わり、2店舗の店長を務める。現在仲見世本店の副店長として、コミック・ライトノベル・画材・トレーディングカードその他児童書・小中学参・高校学参など多くのジャンルを受け持つ。幅広い商品知識はお客様からの信頼も厚い。猫が好き。

 
   
    
   
(※記事内容はすべて2013年4月現在の情報です。)  
 

 静岡県沼津市に6店舗を経営するマルサン書店は創業明治35年の老舗である。書籍・雑誌・専門書を常備し、地域の教育、文化の発展の担い手となりながらも、他に先駆けキャラクターグッズ等の新しい市場を取り入れてきた。
 近年書店での取り扱いが増えてきたトレーディングカード。2011年、その市場が1000億円を突破した。今回はいち早くその市場に注目し、若い世代の顧客獲得と関連書籍拡販を図ってきた木村智仁さんにお話しを伺った。

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書店員になったきっかけを教えてください。

 20年前アルバイトとして宝塚店(旧本店)へ入社しました。マルサン書店はその頃から、当時の書店では取り扱いの少なかったキャラクターグッズや画材を扱っており、それらの発注管理も教えてもらっていました。その頃はキャラクターグッズなどに詳しくはなくやりながら覚えるって感じでしたが、その仕事は楽しく、ガシガシやっていましたね。程なく正社員への誘いがあり現在に至ります。

 

トレーディングカードに注目したきっかけを教えてください。

 

pro19-3.jpg18年前に、お客様からの要望で世界初のトレーディングカード「マジック・ザ・ギャザリング」を取り

 ったのが始まりです。その後「遊戯王」が爆発的に流行し、カードの販売が軌道に乗りました。さらにお客様からの要望でカード大会を開催することになりました。すると、大会の参加者が、カードだけでなく、コミック・児童書・キャラクターグッズなどを買っていく姿を見ました。これは書店とうまくマッチすると思い、大会を頻繁に開催するようになりました。

 

カードを扱う際に気を付けている点を教えてください。

 カード大会の運営自体はそこまで難しい事ではありません。ゲームの進行は、参加者の中で仕切ってくれる子に任せたりしています。
 やはりある程度の商品知識やルールは勉強しないといけません。特にカードはお客様の方が商品知識が豊富なことが多いので、こちらがわかっているかどうか見透かされますからね。知っている人がやっているんだなと思ってもらえるような、つまり、お客様が求める商品展開を心がけています。そうしないとお客様は他の店に行ってしまう。それは、カードに限らず、本や他の商材でも一緒の事です。

 

具体的に成功したフェアについて教えてください。

 カードを購入するお客様は一緒にTRPG本を買っていく方が多くいらっしゃいます。昨年TRPGコーナーの「クトゥルフ」関連書籍をカード常連のお客様が購入して行くことに気が付きました。理由を尋ねたところ、その頃ヒットしたアニメ「這いよれ!ニャル子さん」の元ネタが「クトゥルフ神話」だという事を知ったのです。それをきっかけに「クトゥルフ」関連のコーナーを拡充し、大会に合わせてフェアを行ったところ、一冊6090円のルールブックがひと月に6~7冊売れたんです。それに加えてみんな関連書籍をセットで買っていく。決して安くはない本をですよ。
その後も毎月大会の度に確実に売れて行きました。
 ただカード・本を扱うだけか、関連を知って組み合わせて展開するかでは売り上げは全然違います。

 

 

働く上で大切にしていることはなんですか?

 お客様と交流を持ち、情報交換をすることです。  クトゥルフ神話の拡販成功についても、トレーディングカードを買われるお客様から情報を得て商品展開に繋げる事が出来ました。直接要望を言ってもらえるような信頼関係を築くため、お客様にはなるべく話しかけるようにしていますね。

 富士急店から長泉店に異動することになった際、何名ものお客様に『これからはそちらにも行きます。』と仰っていただき、実際に異動後の店舗にも来店していただいた事がとても印象に残っています。今後もそのような接客や心遣いを大切にしていきたいです。

 

 

後継者の育成についてはどのようにお考えですか?

 トレーディングカードに限らず、この職業は専門知識に合わせて、この作品が売れるか売れないかの「直感」が大切だと思います。

 例えば昔に比べ、アニメ化されるコミックの点数が膨大に増え、すべての作品を展開することが困難ですそのため、ある程度作品に期待値があるものは先行投資し、それ以外はアニメ放送を最低2・3話まで視聴し、「これだ」と思った作品を展開させます。そうやって実際にそれが当たっているという感触を掴んできました。
 スタッフにも、直感で判断しそれを売り場に活かしてもらいたい。経験を積んでもらうため、現場での仕事はなるべく部下に任せるようにしています。そしてある程度そのような指導育成が出来たスタッフを本店より各支店に順次派遣しています。

 

 

 

今後の展望と全国の書店員さんに一言お願いします!

 書店は本だけという概念を捨て、特に若いお客様が来ていただけるように色々な商材やイベントに今後もチャレンジしていきたいです。
 みなさんも厳しい状況が続いていますが、若い世代が書店に興味を持ち携帯やネットではなく書店に足を運んでいただくよう色々な努力を続けていきましょう

 

 

 

 

 

 
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木村智仁さんのいちおし☆BOOKS

 

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 「十二国記の「月の影 影の海」

 小野不由美(著)

 講談社X文庫ホワイトハート

 
  

 

【作品紹介】

陽子はもう一ヶ月も同じ夢を見続けていた!闇の奥から邪悪な何かが毎夜近づいてくる夢だ。そんなある日、学校に忽然と現れた奇妙な男は陽子を「私の主」と呼び、とてつもない冒険の旅へと彼女を誘った。

【オススメ理由】

コミック・ライトノベルの代表的な作品を読み終えたなって時に、当時の文庫担当者に勧められたのがこの作品でした。言葉にするのは難しいですけど、衝撃でした。ジャンプばかり読んでいた時にクランプを読んだ感覚に似ています。これは男性には書けないなって。ホワイトハートは基本的には女性が買うジャンルですが作品的にもかなり面白いので、男性にも是非読んでほしい。

 
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  こちらの記事はDAIWA LETTER37号に掲載されています
   
 

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