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”商売の神髄は、今も昔も変わらないと思います” |
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工業高校を卒業後、電車のモータを作るメーカーに就職しましたが、大学受験を志し一年で退社、受験費用を稼ぐために始めたアルバイト先が書店でした。結局工業高校卒では大学受験に必要な教養科目にめっぽう弱く、二度受験に失敗したところで諦め、21歳の時アルバイト先だった書店にそのまま就職したのがきっかけです。
26歳の時、わずか30坪の小さな店の店長を任されましたが、常に「地方の小さな書店の店長」という引け目を感じていました。そんな時、【岡田徹詩集(ページ下部いちおしBOOKS参照)】に出会い、もし恥じることがあるとするなら、30坪にすら自分の思いを込められないことだ、と気づきました。そこで「あいさつ、きれいさ、親切さで日本一の書店」、自分自身は「日本一の店長になる』と目標を掲げ、全社員で一致団結。 また、休日を利用して各地の書店を回り、単品管理がいかに重要かを教わりました。当時はPOSレジもなく単品管理は至難の業でした。コミックを注文する時は「男の子のコミックを100冊送ってください」などと頼んでいたんですよ(笑)。そこで、売れる商品を切らさないよう独自で単品管理の手法を考えて実践すると、みるみる売上げも上がり30坪で年商一億円、更に駅ビルに出店した124坪の店では年商五億一千万を記録しました。 その結果、業界紙で取り上げられたり、講演の依頼が入ったり、また書店員向けの「単品管理の手引き」を取次さんから発行していただくことになりました。
私が一番大切にしていることは「商売十訓」という商業会の基本理念です。私が小売業界に入った時、これを徹底的に教わりました。
一つ目に「損得より先に善悪を考えよう」とありますが、「損得」とは会社の都合のこと、そして「善悪」とはつまりお客様のご都合のことなんですよ。
私は新潟にいる頃から、スリップを再利用してお客様からお聞きした要望を片っ端から書く、ということをしています。例えば、「トイレはどこですか?」と聞かれたら、それは(トイレをちゃんと分かるように表示してください)という言葉が隠れているのです。また現在では、POSレジがどこにでも導入されていますよね。ただPOSレジは売れているものは分かっても、売れていないものは分からない。でも人間は状況をきっちり把握できるから、見方を変えれば人間POSレジの方が優秀なんです。つまりお客様の見えない声をどうやって取り込むかということです。だから全部書くんです。そして、それらを一つ一つ潰していけばいい。顧客満足への取り組みの秘訣はそれしかありません。この活動は現在ビッグワンでも続けています。朝礼のときに社員間で情報共有し、要望を分類分けし、その後の経過を書き込むようにしています。これは「品切れメモ」と呼んでいるんですよ。「商品の品切れ」という意味もそうだし、お客様から要望があるということは「サービスの品切れ」ということでもあります。
顧客満足の基本とは「お客様の望んでいることをすること」なんです。それをやっていれば自ずと売上げがついてきます。ほぼ全ての企業が「顧客第一主義」を掲げていますが、自分たちの金儲けの方便として使っている企業もたくさんあります。二宮尊徳は「道徳なき土に経済は育たず」と言っています。商売の神髄は今も昔も変わらないと思います。今、私がビッグワンでしなければならないことは「商売十訓」や二宮尊徳らの理念をどのように若い世代に伝えていくか、ということです。今風の言葉でね。
今の書店業界の売り上げは、5年後くらいまでに一割程度が電子書籍に移行すると予想されています。電子書籍が出始めたころは、紙の本が無くなるような論調もありましたが、ここへきて紙の本は絶対になくならないと言われています。
電子書籍に向いているのは、雑誌、コミック、小説等の比較的内容が軽めの本や情報誌だと思います。例えば株価のことは、今の時代月刊誌が出るまで待っていられない。また、現在携帯電話で配信されている電子書籍の売上げは、コミックが約 割を占めています。
その対極は専門書や、ビジネス書、学習参考書等。今後読み捨てのものが電子書籍に移行していく一方、「良い本」は紙の本として必ず残ると思います。とすると、「良い本」を中心に品揃えする書店は生き残る。
ビッグワンは、今現在の品揃えの水準をちょっと深める、という姿勢でいきます。日々新刊が出て情報が入ってくる中で、いかに味がある棚づくりをしていくかが鍵。そのために市場の変化を睨みながら一つ一つに反応していくことです。反応していくところにしか情報は集まりませんから。当然客層が変わったり、競合他社が出てきたり・・・。近くにコンビニができたため売上げが落ちてしまった、と言っているようではダメです。質やサービスを高めることで「どうせ買うならあの店で」という「わざわざ店舗」になることです。
そして、やはり「良い本」を見分けるのはスタッフの力量にかかっています。最後は人、全て人です。
内山さんが制作に関わった書店員向けの出版物の数々
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印象に残った言葉は手帳に何でも書き込む ”世の中で一番難しいことは自分をしること 「私は毎日一番容易なことをしているのだな、と反省・・・」
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商売十訓
一、損得より先きに善悪を考えよう
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