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Books Kiosk/澤田こずえさん

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【第12回】Books Kiosk 澤田こずえさん

 

 

 ”目標とスタッフのモチベーション、
 
売上とお客様満足のバランスを常に考えます”

 

 

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Books Kiosk 
新大阪店 店長

 

澤田 こずえ(さわだ こずえ) 

 
   

北海道出身。書店員歴16年。一般企業に就職した後、自分の好きなことを職業にしてみたいとの想いから書店業界に転職。ブックスキヨスク六甲店のアルバイトから社員を経て7度の異動を経験し、2年前より新大阪店店長に就任。関西の書店有志の勉強会【本真会】に参加するなど、精力的に関西の書店業界を盛り上げている。趣味は旅行と韓流鑑賞。

 
   
 (2011年5月取材当時)   
 

東海道新幹線の終点、山陽新幹線の起点であり1日に約5万人の利用客がある関西のビッグターミナルJR新大阪駅。同駅の新幹線乗換改札前に店舗を構えるBooksKiosk新大阪店は、情報発信スピードの速さと厳選された商品展開で、駅利用客を惹きつけている。駅中書店としての販売への取組み及び人材育成の取組みについて店長・澤田こずえさんにお話を伺った。

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書店員になったきっかけを教えてください。

 

 もともと本が好きで、学生時代に札幌の某書店でアルバイトをしていました。学校よりも一生懸命になる程楽しかったんですよね。その思い出が残っていまして、転職を考えたときに次は自分の好きなことを職業にしたいと考え、今の会社の面接を受け、アルバイトとして採用されました。

 

 

これまでの書店人生で一番印象に残っていることを教えてください。

 
 雑誌のバックナンバーをたくさん販売したことです。当時小さな店舗の店長を任されていた私は、『何か売れるものはないだろうか』と頭を悩ませていました。そんな時、ある書店員さんからアドバイスをいただき「SAVVY」という情報誌なら売れるのではないかと考え、バックナンバーを強力にプッシュすることにしました。POPでアピールはもちろんのこと、手を尽くして商品をかき集め、売れては補充を繰り返し、丁寧に根気よく販売を続けた結果、累計で1000冊を販売しました。始めは手に入りにくかった追加発注商品も『きれいな商品が返ってきたので回しておきました!』と、出版社や取次さんの方からアクションが返ってきた時は嬉しかったですね。

 

 

 

 

 

新大阪店の特徴を教えてください。

 

新大阪駅構内という立地柄、通学・通勤時間となる朝8時台と夕方6~9時が忙しいです。そしてお客様の求める情報がとにかく速い。開店からの2時間で売れた商品はすぐ追加発注をかけるようにしています。
 また、新幹線を利用されての出張のお客様も大変多く、ビジネス書の売上構成比率の高さが新大阪店の最大の特徴だと思います。お客様の実に75%が男性で、そのうち30代~50代が65%を占めています。

 

(右図:新大阪店の売上構成比率。一般書店におけるビジネス書の売上構成比率は5%程度)

新大阪店でのお店づくりのポイントを教えてください。

 お客様は大きく分けて【時間のある方】、【時間のない方】だと捉えています。じっくり商品を選ぶ時間はないが何か読みたいという後者のお客様に対して、いかに適切な商品アピールが出来るかが勝負です。迷っている背中をぽんと押してあげられるようなPOP作りを目指しています。
 今期のテーマは『お客様本位の買い場を整える』です。立ち読みの多い雑誌コーナーは整理整頓を徹底し、時間のないお客様でも見やすく・探しやすく・取りやすいようボリューム感を持って陳列しています。 
 駅中に専門書を買いにくるお客様はほとんどいません。かといって話題本、ベストセラーだけ置いておけばよいというのは本屋ではありません。駅中という限られたスペースですので、商品を厳選しながらも、プラスαを打ち出していかなければなりません。日本でも有数の情報発信スピードが求められる現場ですので、常にアンテナを張り、お客様の問い合わせ内容に敏感に反応し商品を入れ替えています。
 個人的には、お店を客観的に見るため、毎朝出勤したらまず遠くから自分のお店を眺めて昨日と違うところがあるかチェックをしています。自分の仕事に満足し現状に慣れてしまったら、それ以上の発展は望めませんので、これはずっと続けています。

 

 

 

 

 

       
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リーダーシップフェア。
シンプルにインパクトの大きいPOPが並ぶ

 

 

 

 

発売日の雑誌など目的買いの多い商品は、見つけてもらいやすいようボリューム感を重視した平積みで陳列

 

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平積みされた雑誌の前には多くのサラリーマン風の男性であふれている。まさに統計通りの光景!

 

人材育成についての取り組みを教えてください。

 面接時にいつも聞くことがあります。それは『自分が経験した嫌な接客対応』です。それはやらないようにしましょうと約束して入社してもらいます。それを書き出した紙は出社したら必ず最初に目に留まるよう各自のロッカーに貼ってあります。半年に一度は個人面談を行い、相談ごと等を個別に聞くほか、一日に必ずひとつは業務以外のことで声掛けを心掛けています。スタッフとの信頼関係なくして店舗運営は成り立ちませんから。
 うちの会社ではアルバイトさんでも担当ジャンルを持ってもらい、基本的な商品セレクトを任せています。新しい商品導入も、数字や過去の事例をもとにした具体的な提案があればOKを出しています。
 さらに、各ジャンルに毎月・毎日の売上目標があります。数字を明確に掲げることによって、『どんな客層に何冊売れました』と具体的な報告が返ってきます。数字は使いようで、自分がこんなに売ったんだ、と自信・やる気に繋がっていくものです。しかし、数字ばかりを追ってはお客様が見えなくなってしまいます。 目標とスタッフのモチベーション、売上とお客様満足度のバランスを常に考えています。

 

 

全国の書店員さんへメッセージをお願いします。

 お客様から『ありがとう』と言われると本当に嬉しいです。今、この瞬間も多くの書店さんから『ありがとう』が聞こえてくるようです。『ありがとう』をもっと言ってもらえるお客様に愛される書店づくりをしていきたいと思います。

 

 

     

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澤田店長も参加する『本真会(ほんかまい)』とは
    

2003年に発足し今年で9年目を迎える関西の有志書店
員による超自発的勉強会。2ヶ月に1度開催され、毎年
8月には出版社や取引先も交えた拡大本真会を行う。
 メンバーが持ち回りで座長を務め、毎回決められた書
店運営に関するテーマについて現状を調査し発表。競合
という壁を越えて意見・情報交換をする白熱の場。


澤田店長のコメント
「本真会は私にとって常に新鮮な目で物事を考えられる大切な場です。本当にみんなのモチベーションが高く、自分のお店をどうにかしたい、と真剣に取り組んでいます。負けず嫌いなので負けられない!」

 

 

澤田こずえさんのいちおし☆BOOKS

 

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 「八朔の雪
 -みをつくし料理帖-」

 高田 郁(著)

 角川春樹事務所

 
  

 

【作品解説】 

 

享和二年。大坂・淀川の大洪水で両親を失い、天涯孤独の身になった少女・澪。上方と江戸の味の違いに戸惑いながらも、料理人として一歩一歩成長してゆく。話題の時代小説「みをつくし料理帖」シリーズ第一作。

 

【オススメ理由】

この物語の良さはヘコたれないところで、読んだ後また頑張ろうという気持ちにさせてくれます。良い本は人を幸せにしてくれます。商売人としての心得、基本が学べますので、読んでない方がいたら絶対に読んでほしい!

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  こちらの記事はDAIWA LETTER30号に掲載されています
   
 

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