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ブックスタマ/加藤勤さん

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【第23回】ブックスタマ 代表取締役社長 加藤勤さん

 

 

 お客様の近くにいるからこそ出来る事を積み重ねる、
 
それが書店が必要とされる道

 

 

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ブックスタマ 代表取締役社長  

加藤 勤(かとう つとむ) 

 
   

東京都福生市出身。
明治時代から福生市を地盤として商いを行ってきた一族に生まれる。業績不振であった書店経営を引き継ぎ、事業形態を改革することで快調へ導いた。また、経営を行いながら独学で中国語を学び、その面白さを伝えるべく書籍を執筆。

 
   
    
   
   
(※記事内容はすべて2014年4月現在の情報です。)  
 

スーパーマーケットを経営している親会社(株)桝屋の経営の多角化の一つとして書店がスタート。
 現在、多摩地区を中心に東京都内に10店舗・神奈川県埼玉県に各1店舗の計12店舗を経営。
 今回は、ネット通販との差別化を図りながら、地元に根付く「町の書店」として奮闘する加藤社長にお話を伺った。

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社長に就任した当時の経営状況について教えてください。

私が社長に就任した当初、書店事業の経営は厳しい状況でした。9店舗あったお店は、入社して間もない社員が売り場の教育を受けずに店長をしていたりと、店舗によって運営のレベルがばらばら。雑誌がフル面陳されていない店もありました。そこで、全店舗のレベルを揃える為に、運営形態を店長制から事業部制へ移行しました。店長だった全ての社員を本部配属にし、各ジャンル(コミック・雑誌・ビジネス本など)を担当させました。そして、担当ごとに全店舗分の売り場を管理させ、各店のレベルを揃えることで売上が伸び、厳しい状況から脱することが出来ました。現在は店長制に戻しましたが、店舗間での協力体制は続けています。

 

店舗間で協力して取り組んでいることについて教えてください。

店舗間の商品移動を頻繁に行うことで、一冊の本を効率よく活用し、お客様へより早く商品をお渡し出来るようにしています。ネット通販で翌日に商品が届くのが当たり前の中、取り寄せに1~2週間かかってしまっては販売チャンスを逃してしまいます。弊社では、商品移動の為の専用車を随時走らせており、他店舗に在庫があれば、翌日には商品をお渡しする事が出来ます。
 他店舗の在庫までも調べるというスタッフの一手間にお客様も喜んでいただいています。
 また、店舗間のやりとりを円滑に進められるように、年に5~6回各店舗の担当者を集めた勉強会を行っています。自分のお店の為に発注をかけた本を、他店舗に渡さなければならない場合でも、普段からコミュニケーションがとれていると「お世話になった人だから。」と快く協力しあう事ができますよね。

 

 

書店を経営する上で大切にしていることについて教えてください。

「ネット通販があれば、本屋は必要ないんじゃないか。」と言う声もありますが、ネット通販は店舗を構え、お客さんの近くで商売をすることは出来ません。私たち本屋は、お客様の近くにいるからこそ出来ることは何か考え、実行することが大切だと思います。
 例えば、福生店では10年以上前から、月に1度ボランティアによる絵本の読み聞かせを続けています。お客さんが集まらず続けられるか不安な時期もありましたが、今では安定して毎回10人は集まってくださいます。昨年6月には、トレーディングカードの対戦スペースも設けました。また、去年から西調布店・上石神井店でも読み聞かせを始めました。ボランティアの募集をしたところ、元児童劇団の方や元アナウンサーの方が声を上げてくださりました。全店舗に読み聞かせを広げていきたいと思っています。
 実行している一つ一つの事は小さく、どれか一つをやれば経営が改善するわけではありません。しかしその小さいことを積み重ねていくことが、書店が必要とされ続ける道だと思います。

 

 

町の書店として取り組まれていることについて教えてください。

弊社では数年前から、版元さんに協力をしていただきながら、人文書に力をいれたフェアを行っています。商品の回転率を重視すると、人文書や学習参考書は品揃えから外してしまいがちです。しかしそれは、一部のお客さんを切り捨てるという事ではないでしょうか。

 「町の書店」として、お客さんに満足してもらえる品揃えとはなにか常に意識し、お店の半径1㎞以内の住人にどれだけ支持してもらえるかで、他社との差別化を図っています。

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左)充実した品ぞろえの学習参考書 (右)取材時はレジ前で計24タイトルの”岩波新書フェア”が!

 

 

全国の書店員さんに一言お願いします!

アメリカの大手書店はアマゾンに打撃を受けています。だからといって、日本の書店がネット通販に負けるとは思いません。
 海外の本屋では、雑誌は本屋の商品と認識せず販売していません。販売している書籍も一部の人に向けた品揃えで、訪れるお客さんの幅も限られています。一方、日本の書店は幅広いジャンルの本が置いてあり、大人から小さな子供までが訪れる場所です。そんな書店は他の国にはありません。日本の書店が特別だということを誇りに思っていただきたいです。

 

 

 

    
pro23-6.jpg         「社長がどんな本を読んでいるか気になる。」という出版社さんからの一言でスタートしたこのブログ。なんと、9年間も書き続けているとのこと!ビジネス書からコミックまで取り上げるジャンルは多種多様。日本の本を知るきっかけだと海外の友人からの声もあるそうです。こちらから要チェック!      

 

 

加藤勤さんのいちおし☆BOOKS

 
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 「人を助ける
すんごい仕組み」

 西條 剛央/著

 

 
    

【作品解説】

3.11東日本大震災の被災地支援を行うために、大学教授である著者が1000人を超えるボランティア組織を立ち上げた。自然災害に有効な支援の仕組みについて、ボランティア組織の立ち上げから運営、成長過程を通して書かれている。

 

【オススメの理由】

東日本大震災を忘れてはいけないという事を伝える為です。
著者のスキルや実行したことを、復興プロジェクトの為だけにとどめておくのは、もったいないと感じらる内容で、1人の力でこれだけのことが出来るのだなと思える本です。

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  こちらの記事はDAIWA LETTER41号に掲載されています
   
 

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