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”お客様の近くにいるからこそ出来る事を積み重ねる、 |
それが書店が必要とされる道” |
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私が社長に就任した当初、書店事業の経営は厳しい状況でした。9店舗あったお店は、入社して間もない社員が売り場の教育を受けずに店長をしていたりと、店舗によって運営のレベルがばらばら。雑誌がフル面陳されていない店もありました。そこで、全店舗のレベルを揃える為に、運営形態を店長制から事業部制へ移行しました。店長だった全ての社員を本部配属にし、各ジャンル(コミック・雑誌・ビジネス本など)を担当させました。そして、担当ごとに全店舗分の売り場を管理させ、各店のレベルを揃えることで売上が伸び、厳しい状況から脱することが出来ました。現在は店長制に戻しましたが、店舗間での協力体制は続けています。
店舗間の商品移動を頻繁に行うことで、一冊の本を効率よく活用し、お客様へより早く商品をお渡し出来るようにしています。ネット通販で翌日に商品が届くのが当たり前の中、取り寄せに1~2週間かかってしまっては販売チャンスを逃してしまいます。弊社では、商品移動の為の専用車を随時走らせており、他店舗に在庫があれば、翌日には商品をお渡しする事が出来ます。
他店舗の在庫までも調べるというスタッフの一手間にお客様も喜んでいただいています。
また、店舗間のやりとりを円滑に進められるように、年に5~6回各店舗の担当者を集めた勉強会を行っています。自分のお店の為に発注をかけた本を、他店舗に渡さなければならない場合でも、普段からコミュニケーションがとれていると「お世話になった人だから。」と快く協力しあう事ができますよね。
「ネット通販があれば、本屋は必要ないんじゃないか。」と言う声もありますが、ネット通販は店舗を構え、お客さんの近くで商売をすることは出来ません。私たち本屋は、お客様の近くにいるからこそ出来ることは何か考え、実行することが大切だと思います。
例えば、福生店では10年以上前から、月に1度ボランティアによる絵本の読み聞かせを続けています。お客さんが集まらず続けられるか不安な時期もありましたが、今では安定して毎回10人は集まってくださいます。昨年6月には、トレーディングカードの対戦スペースも設けました。また、去年から西調布店・上石神井店でも読み聞かせを始めました。ボランティアの募集をしたところ、元児童劇団の方や元アナウンサーの方が声を上げてくださりました。全店舗に読み聞かせを広げていきたいと思っています。
実行している一つ一つの事は小さく、どれか一つをやれば経営が改善するわけではありません。しかしその小さいことを積み重ねていくことが、書店が必要とされ続ける道だと思います。
弊社では数年前から、版元さんに協力をしていただきながら、人文書に力をいれたフェアを行っています。商品の回転率を重視すると、人文書や学習参考書は品揃えから外してしまいがちです。しかしそれは、一部のお客さんを切り捨てるという事ではないでしょうか。
「町の書店」として、お客さんに満足してもらえる品揃えとはなにか常に意識し、お店の半径1㎞以内の住人にどれだけ支持してもらえるかで、他社との差別化を図っています。
(左)充実した品ぞろえの学習参考書 (右)取材時はレジ前で計24タイトルの”岩波新書フェア”が!
アメリカの大手書店はアマゾンに打撃を受けています。だからといって、日本の書店がネット通販に負けるとは思いません。
海外の本屋では、雑誌は本屋の商品と認識せず販売していません。販売している書籍も一部の人に向けた品揃えで、訪れるお客さんの幅も限られています。一方、日本の書店は幅広いジャンルの本が置いてあり、大人から小さな子供までが訪れる場所です。そんな書店は他の国にはありません。日本の書店が特別だということを誇りに思っていただきたいです。
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「社長がどんな本を読んでいるか気になる。」という出版社さんからの一言でスタートしたこのブログ。なんと、9年間も書き続けているとのこと!ビジネス書からコミックまで取り上げるジャンルは多種多様。日本の本を知るきっかけだと海外の友人からの声もあるそうです。こちらから要チェック! |
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