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”書店をお客様にとっての第2の家にしたい”
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コンビニのアルバイトを経験し、お客様と話したり人と関わることがとても楽しく感じたことから、自分は接客が向いていると思いました。接客が出来ればどんな職種でもやりたいという想いで開いた求人情報誌の中で、光って見えたのが書店だったんですよ。そして650坪の大型書店に、1年間のアルバイト勤務を経て契約社員として入社し、児童書・地図ガイド・文芸書を担当しました。
当初は絵本のラインナップや本の内容が分からず、問い合わせに対応出来なくて悔しい思いをしました。そこで毎日退勤後1時間ずつ残り、売り場の絵本棚を端から端まで読みました。とにかく周りのスタッフに追いつくことしか考えていませんでした。そのお陰で、オススメ本を複数提案し、その中からお客様自身に選んでもらう方法を確立しました。その経験を通じてたくさんの絵本に出会えた事は、山下書店で働いている現在も役に立っています。
南行徳商店街のイベントにあわせ隣の海苔屋さんとコラボフェアし、それぞれの店頭で、海苔と一緒に海苔に合う料理のレシピ本を販売しました。実用書の売り上げが伸び悩んでいたことに加えて、海苔屋さんの女将さんから「若い人にもっと海苔を食べてもらいたいなぁ」とポツリと相談を受けたことから思いついた企画です。結果として、海苔17缶とレシピ本7冊が売れました。
売り上げとしては大成功とまではいきませんでしたが、海苔屋さんからは、「当店に来た事のない山下書店のお客様が来て下さった事は、とても嬉しかったです。商店会として協力し合う事で、心が寄り添えましたね。」との感想をいただけました。また商店街の他のお店の人にも「面白いことをする本屋だね。」と言っていただき、改めて山下書店を認識してもらえたという点では大成功でした。
重複購入をしてしまったという常連のお客様の声を聞き、購入履歴や会話の内容を記入した「お客様ノート」(※1)をつけ始めました。ノートを確認することで重複購入を防げますし、読んでいるシリーズの入荷数が少なければ、お取り置きをしています。
また、お客様が困っていれば自分から声を掛けられるように、棚整理をしていても周りを見るように意識していますね。
棚やラインナップも「この棚替えたんですけど、どうですかね?」と直接お客様に意見を聞きコミュニケーションをとっています。
繰り返し声を掛けていると、お客様は徐々に心を開いてくれます。1年前は全く話してくれなかった女の子が今では進路相談をしに来てくれたり、一言も口を利いてくれなかった男の子が、ある日ほっぺにチューをしてきた時は天にも昇る気持ちでしたね(笑)
書店員になったばかりの頃の話です。接客がしたいと思って書店に入社したはずが、当初は接客どころではありませんでした。大型書店では児童書の棚は整えているそばから荒れていき、書店員というよりも、売り場の清掃員となっていました。ちょっと本屋がつまらないと思ったぐらいです。
始めは、子供がスリップを抜いていても、隣で黙って戻していました。ある日、その子供に「おねぇちゃんが片付けているんだけど、どうしてよごしていくの?」と声を掛けてみたんです。最初は無視されましたが、「ちょっと手伝ってみない?」「きれいにしてくれてありがとう。」など少しずつ会話を重ねて行くうちに仲良くなり、よごすのをやめて一緒に売り場を片付けてくれるようになりました。嬉しかったですね。「あ、会話をすれば通じあえるのか」と、その時初めて気付きました。
エジプトから来たお客様の問い合わせに対応した際、お礼にパピルスで出来たしおりをいただいたことです。
その方のお探しの本は当店にはありませんでした。しかし、明日帰国されるとのことでしたので、絶対に本日中に渡したいと思い、近隣の他の書店に電話で問い合わせてやっと在庫のあるお店を見つけました。問い合わせを受けてからそのお店への地図をお渡しして、送り出すまでに30分以上かかってしまいました。ですが、しおりをいただいた際、言葉は分からなくても本当に感謝してくださっていることが伝わってきました。時間よりも『本を渡したい』というこの想いを大切にしたいと感じた瞬間でした。
私が、悩んでいる時に「頑張れ」「ひとりじゃないよ」と励まされるのは、他店の書店員さんが想いを込めて作った棚や素敵なフェアとの出会いです。また本屋さんだけでなく出版社や作家さんからもさまざまなヒントをいただいています。この業界はとても温かく素敵だなと思います。いつも感謝をしています。私も人を励ますことができる書店員でありたいなと思います。負けていられません!
私の夢は書店をお客様にとっての第2の家にすることです。辛いとき、泣きたいとき、ここに来て元気になってもらいたい。山下書店南行徳店を「温かくてなんか良いな」と思ってもらえるお店に出来るよう頑張っていきたいと思います。
お客様目線になって作る棚
【店内の一角にある児童書コーナー】 |
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