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TSUTAYA/鈴木正太郎さん

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【第27回】  カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 鈴木 正太郎 さん

 

 

”考えて行動できるスタッフを1人でも多く育てる

 

 

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TSUTAYA香里園店 兼 TSUTAYA東香里店
鈴木 正太郎(すずき しょうたろう) 

茨城県出身。書店員歴11年。
スタッフへのマネジメント力の不足により店舗の異動を命じられたことをきっかけに、人材育成やスタッフとのコミュニケーションを強化することを決心。現在はスタッフを他店舗へ連れ出して勉強会を行うなど、自ら考え行動できるスタッフ作りに力を入れている。
身体を動かすことが好きで、社内で自転車部を設立。メンバーと共に遠方へ行くことが目標。

 
 
(※記事内容はすべて2015年4月現在の情報です。)
 

大阪府寝屋川市にある香里園。ここには6年前に書籍部門を取り入れリニューアルオープンしたTSUTAYA香里園店がある。店舗の向いは高層マンションや大きな大学病院が最近建てられ、ベッドタウンエリアとなっている。一方、店舗の裏手には昔ながらのお店が集うディープな大阪を感じることが出来る商店街がある。今回は、香里園店と東香里店の2店舗の運営に携わり、スタッフの教育に全力を投じている鈴木さんにお話を伺った。

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書店員になったきっかけを教えてください。

 大学時代に、図書館司書と学芸員の資格を取得していました。が、狭き門である図書館司書になることは現実的には難しく、卒業後に地元に居ては何も始まらないと思い、神奈川県へ引越しをしました。しばらくは、横浜の書店でアルバイトをしていました。
 その後、現在の会社へ入社し、レンタルのみの店舗で売り場を担当しました。レンタルで何をやっていくか悩んでいた時に、上司から「レンタルと書籍を合わせた複合店舗となる、町田木曽店の立ち上げに携わらないか」と誘いを受け、「やります」と即答しました。これをきっかけに書店員の道を歩み始めました。その上司は私が司書の資格を持っていることを知っていて声を掛けてくれたんです。まさか卒業して何年も経ってから資格が役に立つとは思わなかったですね。

 

スタッフとコミュニケーションをとるようになったきっかけを教えてください。

 馬事公苑店の改装準備に携わった時のことです。改装終了後はこの店舗に勤務すると思っていました。しかし、オープンの翌日には規模の小さな新橋店への異動を命じられてしまいました。当時の自分の能力に対して、馬事公苑店の規模が大きすぎた為でした。
 今思えば、自分の考えを持って行動することが出来ていませんでしたね。後輩と作業の連携が必要となる中、コミュニケーションも上手く図れていなかったです。作品の知識はあり売り場作りには自信を持っていましたが、人をマネジメントする運営面では能力不足だということに気が付きました。自分で店舗のことやスタッフのことを考えられないままでは、店舗の運営は出来なかったと思います。
 これをきっかけに、マネジメントの勉強をし、以後配属された店舗ではスタッフとのコミュニケーションを徹底しました。業務が円滑に進むようになり、自信が付きましたね。その後、関西直営支店から「運営に強い奴をくれ」との要求があり、私が選ばれ関西へ異動してきました。

 

 

具体的にどのようなコミュニケーションをとっていますか。

 私が伝えたい意図を、スタッフが確実に理解し行動できるような接し方を意識しています。直接かつ、回数を重ねるのが一番ですね。

 以前、スタッフの人数が少ない小規模の店舗で勤務をしていた時のことです。一人一人の考えを売り場に反映させやすい一方で、目標とずれた考えも全体に浸透しやすいことを感じました。なので、開店前にスタッフ全員で話す時間を設け、各自のやりたいことを受け止め、店舗の目標と差がないか確認をしていました。私と考えが異なった場合、お客さんにとって最善なのはどちらなのかを繰り返し話し合い、お互いが納得して仕事にとりかかれるようにしていました。

 現在は、スタッフの視野を広げられるように、時間をかけて教育をしています。一緒に他店舗へ売り場を勉強しに行き、成功事例をなるべく共有しています。お客さんや商品の動向を気に掛けるようにスタッフの意識を変えられたり、仕事のやりがいを伝えられたときは一番嬉しいですね。

 

これまでに挑戦したことを教えてください。

45p-5.jpg TSUTAYA発祥であり、最も古い枚方駅前本店を担当していた際に、開店 30周年を迎えました。この1年間をどうやったら笑える年に出来るかを考え、色々とイベントを行いましたね。

 出版社さんの協力を得て65人の作家さんに、30 周年記念をお祝いしたサイン色紙をいただきました。中には本店を知らない方もいらっしゃったかもしれませんが、快く引き受けてくださりありがたかったですね。売り場に展示しお客さんにも好評でした。

 

 

 

 

 

 

45p-3.jpg また、吉本のお笑い芸人 たけだバーベキュー さんをお招きし店頭でバーベキューをしました(笑)たけだバーベキューさんがバーベキューの実用書を出版された際、お願いをしたところ実現できたイベントです。焼いたお肉は来店したお客さんにふるまい召し上がっていただきました。店頭で肉が焼けるのであれば、ある程度のことは本屋で出来るなと確信しましたね。

 

 

 

 

 

今後の課題と展望を教えてください。

 現在は、香里園店と東香里園店を担当しています。香里園店の書籍担当スタッフは22名おり、全員とコミュニケーションを取るには時間を合わせるのが難しいです。しかし、誰かを介して伝えると、本人に届くまでに想いの熱が冷めてしまいます。遅番のスタッフとも、10分でも面談が出来るよう私が少し遅くまで残るなどの工夫が今の課題です。
 今後も自ら考え行動できるスタッフを一人でも多く育て、一人一人を戦力化させたいですね。それが私の役目だと思っています。スタッフが楽しく売り上げを伸ばせる環境というのは、その店舗の文化として残っていくと思います。

 

全国の書店員さんに一言お願いします!

 本を扱うという点では競合店ですが、本離れの問題解決に向かって一緒に戦うという点では共闘店でもあると思います。良い取組みというのは、思いついたら悩まずに行動に移すべきだし、共有すべきです。チェーン内だけでなく町の書店でもやっていただき、それが良い結果につながったら業界全体で幸せになれますよね。「どんな書店でも出来ること」をどれだけひらめき、伝えられるかが大切だと思います。
 お客さんの興味を本屋さんに向けることが出来るならば、本にこだわらず、色々と一緒に仕掛けて努力をしていきましょう。

 

 

 

 

     

 

 
鈴木正太郎 2つの心得

 

闘魂注入

日々の業務が忙しいと後回しにされがちな教育。しかし!鈴木さんは、後輩スタッフが目標についてこられるように牽引し、後押しをしている。先輩の背中を見て学ばせるのではなく、愛情をもって向き合い教育する状態を「闘魂注入」と呼ぶ。注入後にスタッフが自主的に学ぶ姿が鈴木さんのヤル気につながっている。

 

見逃し三振よりも、空振り三振

以前、上司から言われ鈴木さんが奮い立たったこの言葉。
目の前の難務を無理だと諦めて見送るのではなく、まずは食らいつくこと!
結果が空振りであっても、その経験は次につながってゆく。もしダメだったら、バットの振り方を工夫してみればいい。熱き言葉だ!

 
     
       

 

 

 

鈴木正太郎さんのいちおし☆BOOKS

 
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 約束の森

 沢木冬悟(著)

 角川文庫

 
  

 

【作品紹介】
元刑事である奥野は、現役時代の上司から潜入捜査の依頼を受ける。そこから見知らぬ男女と傷付いた犬との擬似家族生活がスタートする。やがて明らかとなってくる闇の組織と潜入捜査の狙い...奥野の刑事魂が甦る。


【オススメ理由】
悩みを一人で抱えていた登場人物達が、やがて家族と呼べる仲間と共に変化をしてゆく様が美しいストーリーです。また、人間不信の元警察犬が少しずつ心を開いてゆくところにもグッとくる1冊です。

 

 
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  こちらの記事はDAIWA LETTER45号に掲載されています
   
 

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