ショップをハッピーに。
店舗業務を効率化する支援を行います。

  • DOWNLOAD
  • CONTACT

ふたば書房/洞本昌哉さん

☜BACK NEXT☞

 

 

【第8回】ふたば書房 洞本昌哉さん

 

 

 ”書店というフィールドを利用して

 
とにかくやってみる、怖がらずに”  

 

 

pro10-1.jpg  

株式会社ふたば書房
代表取締役

 

洞本 昌哉(ほらもと まさや)

 
   

京都府出身。1970年生まれ。大学卒業後銀行に勤め金融を学ぶ。3年務めた後、家業である「株式会社ふたば書房」に入社。書籍担当、店長職を経て社長に就任。JPIC読書アドバイザー資格を取得し、各方面にて読み聞かせ活動にも積極的に参加している。
現在3児の父。「ええ格好しい」の性分で頼られたり載せられたら頑張ってしまうという親分肌。

 
   
   
 (2010年1月取材当時)   
 

昭和5年創業、京都を中心に15店舗の書店を展開する老舗書店。それぞれの地域性に合わせた特色を持つ店舗作りで地元に愛される書店を目指すふただ書房は、昨年は大阪府の心斎橋と箕面に新規店をオープンするなど、業界低迷にある中で精力的に事業を展開している。同社代表取締役の洞本氏に、ふたば書房での取り組みとこんごの 方針について詳しくお話を伺いました。

  pro23-2.jpg

ふたば書房に入社された経緯を教えてください。

祖父がふたば書房を創業して、僕で3代目になります。生まれた時から家の前が本屋で、本は読むものではない、売るものだという事を幼いながらに思っていました。
せっかくの舞台を利用しない手はないと思っていましたから、大学3回生になり進路を真剣に考え出した時、まずは書店業を継ぐために役立つ職業に就こうと思いました。会社を経営していくとなると「お金を借りる」ことが自分の仕事になってくるのではと思い至り、銀行に就職することを決めました。この時に得た知識と経験は大変役立っています。銀行の担当者は嫌がってますけどね。(笑)

 

 

書店を経営する上で大切にしている事を教えてください。

 
 『地元にあるべき本屋さん』を目指しています。例えば家電などの大きな買い物をするならば、多少遠くとも大きなお店に行くでしょう。でも本屋さんは違います。徒歩や自転車で行ける場所にあることが重要で、そうやって来てくれるお客様の期待に応える本屋でありたいと思っています。
 書店という安定した基盤をもとに、新しい事業に挑戦し収益を上げていきたい。そのためにはまず、皆さんに来てもらえる書店をしっかりと作らなければいけない。それには人材育成・社員を大切にすることが重要だと考えています。
 とにかく僕の仕事は、稼ぐための方法を考える事。社員に払う給料が何よりの結果です。ふたば書房で働いて良かったと思ってもらえるようにしたい。目標は社員平均月収40万円!

 

 

 

 

 

社員教育に対する考え方や実際の教育方法について教えてください。

 ただ命令するだけでなく、なぜそうしなきゃいけないのか理由をつけて説明しなければ人は聞きません。
 具体的な内容としては、社員に読書感想文を課します。書店員として最低限知っていて欲しいベストセラー本や、私のお勧め本の感想を会議で発表してもらいます。また、備品の申請の際には必ず費用対効果の数字を提出してもらっています。コスト計算の考え方を身に付けてもらうためです。その計算があっているかどうかよりも、経費の感覚・考え方を身に付けて欲しいと思っています。
 間違えてもいいんです。大切なのは自ら考え実行すること、自分なりの答えを持つということです。時には赤っ恥をかくこともあるでしょう、しかしそれも成長のために重要な要素だと思います。
 他には、出版社と協力してふたば書房オリジナルPOPコンテストを実施し、選ばれた社員・スタッフを出版社がランチに招待するという「社員還元プロジェクト」もやっています。社長への接待より有効的なお金の使い方だと思いませんか?社員のやる気・モチベーションアップへの効果は高いです。

 

 

現在、特に力を入れている事は何ですか?

 直近では文具・雑貨に力を入れています。面白いですよ!書店は子供からお年寄りまで来られるという間口の広さと敷居の低さがあります。このフィールドを利用しない手はないじゃないですか。1から店づくり客づくりを始めるよりも、書店という既にあるフィールドで他に売れるものを置く方が手っ取り早い。ペン1本でも置いてみて欲しい。結構売れるものですよ。とにかくやってみる、怖がらずに。

 

 

書店業界への思い入れをお聞かせください。

 本はこの世からなくなりません。読書は人間の最後の娯楽だと思います。定年後のおじさん達が毎日新刊を目当てに通ってくれているという事実が裏打ちしています。また、阪神淡路大震災の時に避難所では1冊の週刊誌が取り合いになったと聞きました。人間は想像力の生き物。本の世界に入ることで心が癒される。本には値段以上の価値があるのです。
 そのような事業に携われることを誇りに思います。

 

 

pro8-4.jpgふたば書房のポイントカードには同社の創業者洞本庄太郎氏が書店を開業するきっかけとなったキケロの言葉が記載されています。

【抜粋】

「書籍は青年のための食物となり、老人のためには娯楽となる。 
 病める時は装飾となり、苦しい時には慰めとなる。 
 内にあっては楽しみとなり、外に持って出ても邪魔にならない。 
 特に夜と旅行と田舎においては、良い伴侶となる。」

マルクス・トゥルリウス・キケロ
(共和制ローマ期の政治家、哲学者)

全国の書店員さんにメッセージをお願いします。

 根拠なく悲観するのはやめましょう。書店というのは基本的には安全な事業です。不景気とはいえ、明日潰れるわけではないのですから。まずはひとつ自分が自慢出来ることをもち、お互いに成功事例を出し合い、情報交換をしていきましょう!

 

 

 

 

 

       
ふたば書房のさまざまなグッズ展開をご紹介  
       
pro21-5.jpg

 

 

京都の土地柄にちなんで”和”をテーマにした商品展開の京都雅コーナー。マニアックな物がよく売れるという。

 

 

 

色々なデザインの和柄ブックカバー

 

pro17-6.jpg

 

pro17-8.jpg

 

 

 

 

干支お手玉はヒット商品!

 

 

 

 

洞本昌哉さんのいちおし☆BOOKS

 
47p-9.jpg

   

 47p-8.jpg

 おこだでませんように

 くすのき しげのり(著)
 石井 聖岳(イラスト)

 小学館

 
  

 

【作品紹介】
「ぼくは、いつでもおこられる。家でも学校でも…。休み時間に、友だちがなかまはずれにするからなぐったら、先生にしかられた」いつも誤解されて損ばかりしている少年が、七夕さまの短冊に書いた願いごとは…?

 

【オススメ理由】
もう涙がとまらん。七夕のお話だけど、年末年始いつもより長い時間子どもたちと一緒に居られる時間にぜひ読んで欲しい作品です。北方謙三著「水滸伝」もおすすめ。"組織に属する男”には必読な一冊!

 
☜BACK NEXT☞
   pro21-8.jpg  
  こちらの記事はDAIWA LETTER26号に掲載されています
   
 

DAIWA LETTERは本屋さんと30年以上お付き合いのある当社が無料で発行している「本屋さんのための情報誌」!「プロフェッショナル」以外にも、新店オープン情報「OPEN!」、面白い取り組みをされている書店の特集「PICK UP!」など、さまざまな記事を掲載しております。

   ※記事中の情報は全て取材時のものです。                                                                               
   pro-bnr.jpgback-bnr.jpg