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木村書店/及川 晴香さん

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【第38回】木村書店 及川 晴香さん

 

 

 ”お客様と話すことで新しい気付きがある”
 

 
   
木村書店
書籍係
ポップ担当
 

及川 晴香(おいかわ はるか)

 

 青森県八戸市出身。 書店員歴9年。趣味は絵を描くことと読書。好きな本のジャンルは児童書。 毎朝2時間、仕事後にも本を読むほどの読書好き。2年前から独学でポップを作りはじめ、今まで作成したポップの総数は3,000枚にのぼる。

  

     
 
   


 港町、八戸市に本店を構える木村書店は今年で創業94年目の老舗書店である。この書店が今、ポップごと本を売る書店として、SNS上で話題となっている。製作を手掛ける及川さんはツイッターで毎日自作のポップを公開している。フォロワーは2万人を超え、最近では日本全国からお客様が訪れ、遠方のお客様から電話注文を受けることもあるという。
 読んでみたくなるようなポップを作り、本にさらなる価値をつけている木村書店のポップ担当及川さんにお話を伺った。

  
 
  
 

木村書店に入社した時の事を教えてください。

 職安で募集を見て、本をよく読むので面白そうだと思い応募しました。
社長との面談で、人魚姫の原作と絵本との読み比べにはまっているという話で盛り上がり、
縁あって採用していただきました。

ポップを描くようになったきっかけは何ですか?

 ご年配のお客様にお孫さんへ贈るのにおすすめの本を教えてほしいとお願いされベストセラーを紹介したところ、「人気の本より貴女が今まで読んで面白かった本を教えてほしい」と言われました。

お客様は意外と書店員が読んで面白かった本を知りたいのかもしれないと気付き、それをうまく伝える方法を考えました。声を掛けたら警戒されてしまう可能性があるので、ポップを作ってみた事がきっかけです。

その頃絵はほとんど描けなかったのですが、いろいろな絵を描きながら自宅で独学で勉強しました。
それから2年、今ではデジタルで絵を描くことにも挑戦しています。

ポップごと売るようになったのはなぜですか?

 お客様からのご要望でポップを差し上げたところ、後日同じ本を数冊ポップ付きで購入したいとお求めいただいたからです。

お話によると、自宅に飾っているポップを見たご友人が「この本がほしい」と言ってくださったとのことでした。これは面白い売り方かも知れないと思い、社長に許可をとり、売ることを始めました。

定休日以外は毎日描いており、これまでおよそ800種類、枚数にして3000枚近く描いていると思います。
社長から無理をしないようにと言われているので、自分の時間を削らないよう取り組んでいます。

ポップ作りで工夫している事や気を付けている事を教えてください。

 ポップは過激な表現や暴力表現がある書籍には付けず、面白かった気持ちに嘘がないものに付けるようにしています。また下書きの際、感想に間違いや正解はないので、修正する場合も二重線を引きなるべく元の文章を消さないようにしています。
 また以前は使用しないポップは捨てていましたが、最近は後から参考になることもあるなと思い残しています。

書店員としてうれしいと感じる瞬間はどんな時ですか?

 書籍はどこでも購入できるはずなのに、わざわざ木村書店からポップ付きで購入したいと電話注文を受ける時です。「ツイッターで毎日本を紹介してくれてうれしいし、ポップも欲しいので送料かかってもいいのでください。」というお電話を受けたときは本当にうれしかったです。
まめに更新する意味があると再確認する事ができました。

 「ごめんなさい、遠くに住んでいるので近所の本屋で買いました。」とコメントをいただくこともありますが、それでもすごくうれしいです。私自身休みの日に他の書店に行くと素敵な売り場や本に出会うことがあります。
書店が少なくなるのは寂しいので、木村書店のツイッターをきっかけに、たとえ他のお店でも書店に足を運ぶ人が増えることがすごくうれしいです。

 お客様からのお電話やコメントは仕事のやりがいを感じる瞬間でもありますし励みにもなります。

今の目標を教えてください。

 ポップ以外に何か木村書店でしか買えないものやできない体験を考えていきたいと思っています。
今は二ヵ月に一度フリーペーパーを発行しています。木村書店はすごく小さい書店なので、遠方から来ていただいたお客様が欲しい本がなかった時、何か一つでも持ち帰っていただきたいと思い発行しています。



■ 及川さんが描くポップとフリーペーパー
 
   
     

 『東北朝市紀行』のポップの下書き。
引かれた二重線から及川さんの言葉に対するこだわりが伺える。
ISBSも記載。

      

 二か月に一度発行しているフリーペーパー。
ポップを見に来てフリーペーパーを持って帰っていただくだけでも大歓迎とのこと!

これからの書店業界を作っていく若手の人全国の書店員さんに向けて
アドバイスや伝えたいことはありますか?

 あまり上から目線では言えませんが、お客様と話してみる機会を増やすといいかもしれません。
お客様が書店員が読んでいる本を知りたがっていたことからポップ付き書籍販売の企画が生まれました。

 また、ポップを描くときに使うペンの種類を聞かれたこともあります。すべての要望を取り入れられるわけではないですが、時間のある時にお客様と話すことで新しい気付きがあるかもしれません。


■ ポップ担当日記 その1
 
 

 

 

 
         
 

ツイッターはこちら

 

 ポプたん/きむねこ/カパたんの主要キャラクターが登場するつぶやきでは、 書籍の紹介はもちろん、及川さんの日記も日々更新。

 

■ ポップ担当日記 その2
 
 
     
 

 店内ではポップ担当日記の原画を展示。
誰でも自由に読む事ができる。丁寧にまとめられたノートはまるで一冊の本の様。


■ 店内の取り組み

SNSでは伝わりきらない、ぬくもりあふれる店内の一部をご紹介
 
   
 

 ポップコーナー 本の表紙が隠れないように、詰め込みすぎないように配置が工夫された 及川さんのポップが集まったコーナー。 表情豊かに繰り広げるきむねこの紹介絵から、普段は読まない本もついつい手に取って見てしまう。

 




     
 

 『酒と料理と人情と。青森編』栗原心平(著) / 主婦と生活社(刊)


■ 店内販売商品 その1
 





 店内では書籍のほか、おすすめの食べ物を販売。
 もちろんこちらの商品もポップで紹介。

 

 
■ 店内販売商品 その2
 




 レジ横ではオリジナルキャラクターきむねこのメッセージカードを販売。

 

 

及川 晴香さんのいちおし☆BOOKS



東北朝市紀行

池田 進一 著

こぶし書房 刊 


【作品紹介】
東北の朝市の様子を20年取材し、朝市の風景や商売の様子だけでなく、いさわのかっちゃ(朝市のお母さんの呼び名)のおしゃべりや表情などをありのままに記録したもの。

【オススメ理由】
多くの本ではお母さんたちの方言が標準語に直されていますが、この本では方言もそのままに記載されています。朝市で売っている珍しいものや、商売の様子だけでなくただそこにいる人の会話や笑顔に触れる貴重な資料だと思います。

 

 

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  こちらの記事はDAIWA LETTER56号に掲載されています
   
 

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   (※記事内容はすべて20290年2月現在の情報です。)                                                                               
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