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岡森書店/岡森史枝さん

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【第34回】岡森書店 岡森史枝 さん

 

 

 ”地域には地域のやり方がある。
 
スローガンは「日本一郷土を愛する本屋を目指して」”
 
岡森書店 岡森史枝さん  
   
岡森書店 白鳳店  

店長
岡森 史枝(おかもり ふみえ)

 

三重県伊賀市出身。書店員歴25年。家業を継ぐため短大卒業後、東京・中野の書店にて1年間書店のいろはを学ぶ。三重県立上野高校出身で同級生に芥川賞作家の伊藤たかみ、シンガーソングライターの平井堅、デザイナーの伊藤尚美などがいる。地元を愛し、活躍する「伊賀人(いがびと)」を応援することに情熱を注ぐ。2児の母。趣味は実益を兼ねた日本全国書店めぐり。facebook:@okamorishoten

  

   
   
     
 
   

 三重県伊賀市で1899年に新聞屋として開業したのちに書店業を営むようになった岡森書店。以来、外商と配達を中心に着々と成長し約30年前に郊外店を出店。書店専用顧客販売管理ソフト「岡森システム」を開発したり、カフェやレンタルの併設を全国に先駆けて行ったりと書店業界を牽引してきた存在だ。現在は「日本一郷土を愛する本屋を目指して」をスローガンに精力的に伊賀の情報発信を行う。同店の歴史と書店の役割について岡森店長にお話を伺った。
  

岡森書店白鳳店 
  
 

岡森書店の歴史を教えてください。

 
 1899年に曽祖父が新聞屋として開業し、書店業に転向したと聞いています。伊賀は城下町で、歴史あるお店が数多くあり、創業118年でもまだ新参者です。

 私がまだ小さかった35年前は、地元のお客様のお宅に出入りしての外商と配達が中心でした。百科事典や全集がステータスだった時代背景もあって飛ぶように売れたそうです。郷土の写真集をコンテナで仕入れていたなんて、今では考えられませんよね。

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その頃、月末になると家族総出で夜遅くまで請求書を手書きしていました。人力では限界になって、顧客管理システムを沖電気工業株式会社さんと共同開発しました。夜な夜な沖電気さんが打ち合わせに来られていたのを覚えています。システムのお陰で家族の負担が減り、業務の拡大につながりました。「岡森システム」の名前でパッケージ販売もしたそうで、父は使い方を教えに全国を飛びまわっていました。今でも使ってくれている書店さんがあったら嬉しいですね。
(左図:現役稼働中の「岡森システム」)

 そして、30年前に初の郊外店を出店しそのタイミングでTSUTAYAに加盟しビデオレンタルを始めます。全国でまだ50店舗目くらいだったそうで、増田社長が直接お店に来られました。

 また、父には先見の明があったのでしょうね、今のようにブックカフェが流行っていない時に、本と同じような感覚でお金を落としてもらえるものを考えて、パンに行きつきます。お隣り四日市市の製パン会社「サントレー」に頼み込んでのれん分けをしてもらい、店内にパンの販売とカフェコーナーを作りました。ダクトを店内に向けていましたから書店にパンのいい香りが広がり、とても幸せな気分になりました。この頃はよく全国の書店さんがバスで見学に来られていましたね。

家業を継いだ経緯を教えてください。

  
 正直、継ぐのは嫌でしたよ。高校で進路を決める際、反抗期もあって「家を出る」と言ったらおばあちゃんが大泣きしちゃって。岡森家は二代続けて子供に恵まれず祖父も父も養子です。私が生まれた時には、90年ぶりの子供だと喜んだそうです。血の繋がりがないのに愛情を注いでくれたおばあちゃんの涙を見て、この人を悲しませたらあかん、と家を継ぐ決心がつきました。

 短大を出てすぐに東京の中野にある明屋書店ブロードウェイ店で1年間研修を受けさせてもらいました。書店業務を教えてもらう傍ら、週に一度書店業界のプロフェッショナルの講義が聞ける「書店学校」という明屋書店主催の書店後継者育成研修です。現場で一番学んだことは、スリップをベースにした単品管理の徹底です。日付を入れ売場を書き込む。売れたスリップを見ながら丁寧に売場を触る。このアナログ管理で売場の鮮度を保つことができています。

アナログの底力 スリップで売場の鮮度管理

岡森書店スリップで売場の鮮度管理
今も昔も変わらず手作業でスリップに入荷日を押印している。
「ハンディは返品ペナルティの確認の時だけ使います。スリップはひょいと抜けばすぐ情報がわかるから便利です。」(岡森店長)
(左)補充は黒
(右)新刊は赤
岡森書店スリップで売場の鮮度管理
『あるかしら書店』ヨシタケシンスケ著のスリップには「美」と記入があり、美術コーナーのものだとわかる。
ジャンルを記入することで、複数ジャンルに置いてもどの棚から売れたのか知ることができる。

印象に残っているエピソードとそこから学んだことを教えてください。

 
 昨年の出来事ですが、レジもスタッフも別で運営していたレンタルと書店のレジを統合しました。人件費削減と業務効率化を目指してのことでしたが、まず問い合わせがガクッと減り、やがて売上も減ってしまいました。本を持ったお客様がレジ前で迷っていたり、来なくなってしまった常連さんもいました。

 そこで書店レジを1台設け直したところ、客足と売上が回復していきました。中央レジで全てご購入できるにも関わらず、それぞれのレジで購入しそれぞれのスタッフと話していくお客様が少なくありません。この形がお客様にとって心地よいのだとわかりました。

 一度はレジを統合しましたが、うちのお客様が求めていることではなかった。数字と理論だけではない、地域には地域のやり方があると確信できました。やってみて駄目だったらやり直せばいいんです。

郷土関連書籍や地元のものを多く扱っていらっしゃいますね

 
 忍者、松尾芭蕉、上野天神祭り、築城の名手・藤堂高虎など伊賀はネタが豊富です。それらの研究者が自費出版することも多いので伊賀関連の書籍は数多くあります。祖父の頃からのつながりで長く取り扱ってきていました。

 10年前、上野高校の同級生である伊藤たかみ君が『八月の路上に捨てる』(文藝春秋)で芥川賞を受賞しました。このことがきっかけで、ネタがいくらあっても知ってもらう場がないと広まらない、郷土を応援することが本屋の務め、私の使命だと思うようになりました。「日本一郷土を愛する本屋を目指して」というスローガンを掲げ、これまで以上に郷土関連書籍や伊賀出身者の作品をアピールし始めました。サインをしてもらったり特典を付けたりと特別な売り方ができるから面白いですよね。サイン本は、買い切りですから売る責任がありますが、その分著者の方も協力してくださいます。伊藤たかみ君は受賞後で多忙にもかかわらず500冊ものサイン本を送ってくれました。

 書籍以外でも、地元の高校で開発されたシャンプーや、高校の恩師が作った切り絵のポストカード、地元ゆかりの雑貨やお菓子も多数取り揃えています。活躍する同級生に対し劣等感を抱いたこともありましたが、こういった応援ができるのは私がここにいるからこそだと思うようになりました。
 
 同級生や同郷の方がこんなに活躍していて、すっごくやりがいがあります。私も店から一歩出れば地域の人間です。今後も伊賀を盛り上げていきたいです。

応援します!地元のゆるキャラ「いが★グリオ」

岡森書店 いが★グリオ お香書店 いが★グリオ
伊賀市のゆるキャラ「いが★グリオ」は誕生10周年を迎えた。
実はグリオのプロデューサーも店長の同級生なのだとか。
(上)サントレー名物いが★グリオパンと関連グッズ
(下)著名人から届いたお祝い色紙

全国の書店員さんに一言お願いします

 
 本屋さんを見るのが大好きなので、売場をよく見させていただいています。こんな顔が売り場の写真撮っていたら許してくださいね!

岡森史枝さんのいちおし☆BOOKS

 
岡森書店岡森史枝さんのいちおしBOOKS

   

 岡森書店岡森史枝さんのいちおしBOOKS「mamma」

 mamma まんま

 谷川俊太郎 著 
 伴田良輔 写真 
 
 徳間書店

 
  


【作品紹介】
表題の『mamma』は「おっぱい」「おかあさん」を意味するそう。写真家・伴田良輔さんの写真に谷川俊太郎さんが35編の詩をつけたとっても素敵な写真詩集。いや、もう絶妙なコラボです。


【オススメ理由】
「母」という字の中の点々はきっとおっぱいを表しているんだろうなぁ。「ここからいのちがはじまる。ここからせかいがはじまる。」たくさんのおっぱいを眺めながら、谷川さんのことばを声に出してなぞってみると、なんだかとても幸せな気持ちになります。大切な人に贈ってしまう私の大好きな一冊です。

 

 

 

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   ダイワレター52号  
  こちらの記事はDAIWA LETTER52号に掲載されています
   
 

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   (※記事内容はすべて2017年10月現在の情報です。)                                                                               
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