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堀江良文堂書店/堀江基行さん

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【第29回】     株式会社堀江良文堂松戸店 主任 堀江基行 さん

 

 

 ”教育に従事している人に優しく、
 
子どもの感性を育てる本屋さんでありたい”

 

 

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堀江 基行(ほりえ もとゆき) 
 

千葉県松戸市出身。書店員歴20年。
福島県の書店で2年間の研修を経て家業である堀江良文堂へ入社。書店員歴は20年でも、本屋とのつながりは40年。常に本屋と共に人生を歩んできた。
綾瀬店の閉店を機に松戸店へ異動し、児童書に注力している。休日は小学2年生の息子と過ごすことが多い。プライベートでも絵本に触れる機会が多い。

 
 
 
(※記事内容はすべて2015年10月現在の情報です。)
 

農園が多く自然を残しながらも、鉄道網が発達し交通利便性が高い千葉県松戸市。松戸駅からは東京都心へも繋がりやすい。その松戸駅東口を出て目の前のビルが、創業70年、堀江良文堂書店松戸店。今年6月、半分を倉庫、残りをテナントとしていた2階を改装。新たに児童書フロアを設けた。今回は児童書担当の堀江さんに、売り場誕生話や、お客さんとのコミュニケーションについて伺った。

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書店員としての経歴を教えてください。

実家である堀江良文堂書店での、学生アルバイトから書店員人生が始まりました。大学卒業後に2年間、福島県にある岩瀬書店で研修しました。その後、平成  年に堀江良文堂書店に入社しました。まず流山店でコミック・文芸書を担当し、その後に守谷店・八千代台店を経て綾瀬店で勤務しました。綾瀬店では、児童書を担当しました。6月にテナントビル閉館に伴い綾瀬店が閉店し、7月より松戸店での勤務になりました。同月にフロアの増床を行い、児童書フロアを開設、当フロアの担当になりました。
7年前、息子の誕生をきっかけに地元の子育て支援センターで読み聞かせ活動を始め、現在も月に3回ほど読み聞かせの活動を行っています。近年では息子の通っている小学校でも読み聞かせを行っています。そのような経緯もあり、児童書担当に選ばれました。

 

児童書売場増床の経緯を教えてください。

近隣に本屋さんが少なかった 年程前は松戸店でも児童書売場は活況でした。しかし、駅周辺や沿線の開発、大型書店の進出などで、女性やお子様連れのお客様が減少していきました。松戸店は駅前立地でありますが、多層階フロアですので、コアなお客様や、短時間滞在のお客様が主な客層になっていきました、児童書の需要は年々減少し売場の縮小が余儀なくされていきました。
出版業界で捉えても児童書は決して伸びているジャンルではありません。その中で、再び児童書を大きく取り扱うべきか検討・検証に時間をかけました。しかし、長期の目線で見たとき、児童書の展開の重要性が大きくなり、新規フロア増床を決意しました。今連れて来られている子供たちは、未来のお客様ですよね。世代が変わっても堀江良文堂書店を愛用してもらいたいのです。児童書フロアの開設は自分にとっても、松戸店にとっても大きな一歩ですね。

 

 

仕事をする上で意識している点を教えてください。

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私は、絵本は大人が子供にあげるプレゼントだと意識しています。親は、子供がこの絵本を喜んでくれるのか、読んだら賢くなるのか、様々な親心で迷う上、数ある絵本を読み比べることは至難の業です。つい、わかりやすいアニメキャラクターの本を選びがちになってしまいます。そこで、私の経験を活かした絵本選びのお手伝いをしています。
 例えば、お客様が手に取っている絵本から意図を読み取り、別の作品を紹介をする。お客様のお子さんの年齢に合った絵本を数冊絞って、それぞれの特徴を紹介した上で選んでもらっています。
 いずれにしても息子が興味を持って読んだ、読み聞かせ会で子供たちが喜んだ、親も盛り上がったなど、子供との関わりで出会った実績の伴った絵本をオススメしています。なので松戸店では、「視野を広げて絵本が選べる」と自負しています。
 その結果、フロア場設置から1ヶ月半で、リピーターのお客様が増え、「絵本を買うならここしかない」と言ってくださる方もいらっしゃいます。

 

堀江さんの考える絵本の良さとは?

親御さんはもちろん保育士・学校の先生など、教育に従事している人に優しく、間接的にでも子供の感性を育てる本屋さんでありたいです。
絵本選びのお手伝いの他にも、取扱い商品のご要望に応えたり、季節ごとに選書を変えて棚の充実と成長を図りたいです。手始めに、保育士さんのご要望を取り入れ 月から紙芝居の販売を始めます。また、保育士志望の学生さんとイベントをやりたいとも考えています。夢のために一生懸命な人には刺激を受けます。応援したいですし一緒に成長していきたいです。

 

全国の書店員さんに一言お願いします!

全国の書店員さんはもっと自分の気持ちを表して良いと思います。
児童書売り場開設の際にスタッフが、子供の時に読んで以来、一番大切にしているという絵本を教えてくれました。その想いを私がお客様に伝え、勧めたところたった1週間で4冊購入していただけました。誰かを介しても、本への気持ちは伝わっています。
皆さん本が好き・自分で本棚を作りたい、という志しで書店員になったと思います。ですがその当初の想いを、日々の仕事の忙しさで忘れていませんか?選書の基準が一般的な作品になっていませんか?初心に戻り、本への強い想いをアピールしましょう!そうして1冊売れた時の嬉しさは格別です。さらに 冊売れた時には自信につながります。
素直に「私はこの本が好きだ!」と言いましょう。

 

 

 

 

     
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物置フロアを大胆に児童書売り場へ改装!

 

物置と貸しテナントとしていた2階。壁を取り壊し、明るい児童書フロアに大改装した。そのポイントをご紹介。

 

【スチール棚の利点を活用】
他の売り場では、木製の棚を使用。今回、コストの見直しにより児童書売り場ではスチール製の棚を採用。


磁石がくっつく利点を活用し、子供の遊び心をくすぐるパズルを設置。子供が暇を持て余したり、ぐずったときに大活躍!

 

    

 

 

 

 

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【天井の高さを上げる】
少しでも開放感を出すため、以前の高さよりも天井を上げた。

 
     

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堀江さんの接客を受けるダイワ社員

 
お客様への声掛けは優しさに溢れている
    

【入店:子供とのコミュニケーションもこの一言から】
複数人同時に来店しても、1人に1回は「いらっしゃいませ」と声を掛ける。また、子供には「いらっしゃ~ぃ」と柔らかく呼びかける。

 

【児童書選び:子供も大人も引き込まれる読み聞かせ】
既に手に取っている絵本の良さを伝え、さらに売り場のあちこちから、3冊ぐらい持ってきて目の前で読み聞かせがスタート。全て購入してしまいたくなる誘惑タイム。

 

【レジ:最後に情報発信】
レジでの会計をし終えた後、忘れずに新刊と予約のご案内。
松戸店の広告塔であるTwitterやFacebookページのQRコード入りのチラシも渡す。宣伝にぬかりなしっ!

 

 

堀江基行さんのいちおし☆BOOKS

 
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 だるまさんが

 かがくい ひろし(作・絵)

 ブロンズ新社成社

 
  

 

【作品紹介】
作者かがくいひろしさんと、「ほげちゃん」(写真左)の作者やぎたみこさんは同じ松戸市出身。「だるまさんが、ぷしゅ~っ」思わず声に出して読みたくなる言葉に合わせて、愛らしいだるまがぺったんこになったり伸びたり。身振り手振りを覚え始めた頃にぴったりな1冊。

 

【オススメ理由】
息子はこの2冊で育ってきたと言っても過言ではありません。今では息子自身が、お店に来たお客さんに読み聞かせています。息子にとっても自分にとっても思い入れのある2冊です。

 

 

 

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  こちらの記事はDAIWA LETTER47号に掲載されています
   
 

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