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CCC/児玉英幸さん

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【第14回】カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 児玉英幸さん

 

 

 ”私たちにできることはプロとしての
 
付加価値を与えることです”

 

 

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カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
改装・出店推進部 改装・出店支援 商品プランニングLeader 

 

児玉 英幸(こだま ひでゆき) 

 
   

神奈川県横須賀市出身。36歳。大手機械メーカー、通信事業者を経てCCCに入社。改装・出店推進部では新店の構想から商品調達に至る一連の流れを一手に引き受け、これまで手掛けた新店は200店舗を超える。趣味は海外旅行で現在まで約60カ国を訪問。好きな食べ物はひじきの煮付けと筑前煮。日本食は世界一だと言う。

 
 (2012年1月取材当時)  
    
 

音楽・映像ソフトの販売店チェーンとして、全国1400店舗以上を誇るTSUTAYA事業を中核に据えるカルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下CCC)。1983年の創業以来「世界一の企画会社」を標榜し、近い将来中国への進出も計画されている。今回は「生活提案」をドメインにTSUTAYAの新規出店を数多く指揮してきた改装・出店推進部のLeader、児玉英幸さんにお話を伺った。

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児玉さんご自身について、また、CCCに入社された経緯を教えてください。

 

 高校生の頃、小田実の『何でも見てやろう』や沢木耕太郎の『深夜特急』に衝撃を受け、若い頃は一人で放浪の旅に出て世界の至るところを巡りました。例えばイスラエル、シリア、ミャンマーとか…。現在も当時も危ないと言われている所ばかりですが、現地に行ってみると全然危険じゃない。外国人が多く入って来ない国ほど人が純粋だと感じます。お金お金という価値観に毒されていないんでしょうね。自分たちの最低限の生活をしながら人に優しく接せられる。こういった旅の数々は私の人格形成の源となっていると思います。
 大学卒業後は大手機械メーカーに入社し、中国に携帯電話のインフラを売るために一年の半分を中国で過ごしました。その後通信事業者に転職し法人営業を担当しました。そして 歳のときに自分の可能性を広げることのできる新規事業に携りたいと考え、CCCに転職。経営企画で応募したんですが、まずは本からということで、本の新店チームに配属されました。

 

 

新店がオープンするまでの過程や、チームの役割を教えてください。

 出店情報が分かるのが6ヶ月ほど前で、実際に動き出すのは約3ヶ月前。この間に全てを行います。構想段階は上図のような流れで進み、オーナー様の合意を得られたら、商品の調達、什器や内装関係の手配から棚割りまで、オーナー様に代わりオープン前の一連の業務を担います。これが我々にできるFC店への価値提供の一つだと考えています。

 

 

 

 

 

最も印象に残っている店舗やそこから学ばれた事を教えてください

 日販の現役専務が社長を務める株式会社メルツ様が経営する津田沼店ですね。オープン時の商品選定の際、書籍部門を持つTSUTAYA600店舗から弾き出した数字が良くないという理由で、専務がこだわった商品を入荷しなかったんです。しかし、専務にとっては「その本屋のアイデンティティや方向性を決める商品を切られる」ということに繋がってしまった。
 今では当たり前のようにチームメンバーに言っていますが、当時専務に言われたのは「入れてない商品は売上実績には出てこない」と。私はTSUTAYAの実績から考えて導入しなかった。でも、実際に商品を並べてみて自分がお客様だったらこちらの品揃えの方が欲しいと思いました。数字に囚われて商品の幅を狭めることは顧客価値ではないということを学ばせて頂きました。
 今CCCで本を扱ってくださっているブックエース様、ヤマト屋書店様、中央図書様など元々書店業のオーナー様に対して、複合化でレンタルもやりましょう、と持ちかけても最初は「何ができるの?」と思われていたでしょう。しかし、直接会ってご提案をさせて頂くと、一日の終わりには「TSUTAYAにも本を知っている人がいるんだね」と言って頂けるようになり、大変嬉しく思います。
 私たちは「本屋の視点に囚われない様々な角度からの視点を持つこと+本屋と同じ知識量を兼ね備えること」が必要だと考えます。本屋に関する知識は、全てお客様が鍛えてくれます。その都度お客様とのやりとりを通して、多くを吸収し成長し続けていきたいです。

 

 

働く上で大切にしていることを教えてください。

 メンバーに常々言っているのは「プロ意識を持つ」ということ。プロとして胸を張ってお客様に提案し、プロとして恥ずかしくない仕事をしようと。企業のオーナー様は1店舗あたり3~6億円もの投資をするんです。その投資を我々が担っているわけですが、プロじゃない人にそんな大金任せたくないですよね。私なんか、4、5千円の床屋でも、プロ意識を持ってない人に髪の毛を切ってもらいたくない。
 CCCの行動規範で私が最も好きなのは「顧客の言うことを聞くな、顧客のためになることをなせ。」というフレーズです。前職で悩んでいた時に読みあさっていた本の中で「お客様の欲しいものを売るな。お客様は自分が何を本当に欲しいのか分かっていない。お客様が困っていることの改善案を出すのではなく、プロとしてこちらが整理して逆にお客様に提案せよ。」ということが書いてあり、私はすごく納得したんです。そしてCCCに入社後、この行動規範を知り、最も大切な真理なんだと再確認しました。
 例えば、お客様が導線をこうとりたいと図面を持ってきても「ここは違う、店内全体をくまなく回遊させるのが導線の役割だからこうしましょう。」と、プロとして自信を持ってお客様のために遠慮なく提案します。私たちにできることはプロとしての付加価値を与えることです。

 

 

全国の書店員さんに一言お願いします。

 一般に売れているものだけではなく、自分が本当に読んで欲しい、伝えたい、と思うものの提案をプロ意識を持ってすれば、どれだけでも仕事の幅が広がると思います。一緒に出版業界を盛り上げていきましょう。本屋は絶対になくなりません。

 

 

 

 

 

 

 

   
児玉さんが店舗プランニングに使用した実際のプレゼンテーションを一部公開!  

こちらのプレゼンテーションは蔦屋書店前橋みなみモール店の店舗プランニングの際に作られたもの。CCCの基本理念に沿い、本屋とカフェに加え新たに“コミュニケーションを演出する場である公園”という要素が組み込まれた同店舗は必見です。

   
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児玉英幸さんのいちおし☆BOOKS

 

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 「星野リゾートの事件簿」

 中沢康彦(著)
 日経トップリーダー(編)

 日経BP社

 
  

 

【作品解説】 

 

破綻したホテルや旅館の再生ドラマ。星野リゾートが再生を手がけた全国各地のリゾートが舞台。星野リゾートが運営するホテルや旅館がなぜお客を引きつけるのか。星野リゾートのホスピタリティの原点が明かされる。 

 

【オススメ理由】

経営の一番の醍醐味且つ苦労する店舗企画を、全社員で考え、廃業した旅館の立て直しを図る星野社長。社員の首は切らない。どうしたらお客様が戻ってくるか全員に問題提起する。その手腕に感銘を受けました。自分たちにも応用させたいです。

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  こちらの記事はDAIWA LETTER32号に掲載されています
   
 

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   ※記事中の情報は全て取材時のものです。                                                                               
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